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天狗の軍手

アニメとか漫画とかラノベとか色々と感想書いていきますん

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『終物語』『第一話』感想 







          第 一 話


    お う ぎ フ ォ ー ミ ュ ラ


 
    映 像 使 用 書 體 H G P 明 朝 B







001



 数学史上、最も美しい式をご存じだろうか。
 いや、まさか知らないとは言わせない。聞けば誰もが思い出す。

 eiπ+1=0

 いわゆるオイラーの等式である。
 自然対数の底eと円周率πと虚数iと、1と0が贅肉なく一つの式に、あるべくしてあるように収まるこの公式は、もしもこの世に神様がいるとすれば、その最有力の証拠物件として挙げられる一品だろう。

 数学が得意な阿良々木暦はこんな風に思う。
 しかし、これをあの忍野扇に言わせれば、『確かに美しいですねえ。とはいえ、私なんかは答えが零になるんなら取り立てて計算しなくてもいいって思いますけれどね』なのだろう。

 忍野扇。
 彼女の前ではどんな彼女らしからぬことでも彼女らしくさせてしまう。らしく、なってしまうのだろう。

 そんなわけで、今回は数学の物語だ。
 数学と言うと構えてしまう向きもあるかもしれないので、砕いて算数の話と言い換えてもいい。
 いっそもっと端的に、数の話と言ってしまっても。
 なにせ、これは、数の多さで解が決まってしまう話。

 即ち、多数決の話なのだから。

 多数決。
 間違ったことでも真実にしてしまえる唯一の方法幸せではなく示し合せを追及する積木細工の方式

 不式。
 不式。

 オイラーの等式が、神の存在を証明できる証拠物品であるならば、多数決という不当式は人類が本当の意味で発明したとされる最も醜い式である。


002


 今まで目を逸らし続けてきていた愚かな少年の始点』――。
 物語が終わりに突き進むための、始まりの物語。

 夏休み最終日にタイムスリップをして、間違いを許さない『くらやみ』に追い回され、復活を遂げた『鎧武者』の一件を得て――しばらく経過したある日、忍野メメの姪っ子を自称する少女、忍野扇が転校してきた。

 彼女が直江津高校に転校して来て、神原駿河を通じて紹介された。
 阿良々木暦と忍野扇の、出会いの物語。

 だが。
 この物語に忍野扇は大して重要ではない
 重要なのは阿良々木暦の愚かさ、である。


003


 阿良々木暦と忍野扇は、未知の教室に閉じ込められた。
 扉は開かず、時間が五時五十八分から進まない謎の教室。

 あるはずのない場所に突如として出現した奇妙な教室に阿良々木暦と忍野扇は閉じ込められた。

 教室から、『一年生三組』と書かれた阿良々木暦の教科書が発見される。
 そして、阿良々木暦は思い出す。いや、向き直る。
 目を逸らしていた自身の過去に対して向き直す

 怪異には相応の理由がある。
 だとすれば、この教室を生み出したのはほかでもない阿良々木暦の心残りだ。

 そうだよ。
 あの日以来じゃないのか?
 僕があんなことを言い出し始めたのは――友達はいらない友達を作ると人間強度が下がるから

 阿良々木暦が物語る二年前の七月十五日木曜日の五時五十八分にあった出来事。


004



 帰ろうとしていた阿良々木暦は当時委員長だったクラスメイトの女子、老倉育に呼び止められる。
 教室に集まるとクラスの人間全員が着席していた。
 どうやらこれから始まるのは学級会のようだ。

 学級会。
本日の議題は犯人当てです
 そんな風に老倉育は切り出した。

 犯人が、わかるまで外に、出られない。


005


 七月八日から始まる期末テストに備えて、七月七日に数学の勉強会が行われた。
 しかし、返ってきたテストの点数は奇妙だった。勉強会に出席した生徒だけが異様にテストの点数がよかった
 直江津高校は結構な進学校である(一年生で数学Cや数学Ⅲを習わされる)。そんな学校で『勉強会に出席した生徒』と、『勉強会を欠席した生徒』の間に、およそ二十点の点数差があった

 訝しんだ老倉委員長は『誰か』がテストの問題を盗んで、『勉強会』に流したのではないか? と思い調査を開始することにした。数学をこよなく愛する老倉育は、神聖な数学の勉強会を汚されたことにご立腹。
.
 その犯人を学級会で暴き出す。犯人が見つかるまで帰さない
 しかし、学級会である以上、進行係が必要である。勉強会出席者に進行係をやらせるわけにもいかず、ほぼほぼ自力で数学テストで百点満点を叩き出した阿良々木暦が進行係を担うことになった。

 現実で行われる議論や交渉が、理路整然と進行しない大きな理由は『人は相手の話を聞かない』からえだる。論敵の発言を認めず論敵の発言権も認めず、各々が勝手な発言ばかりを繰り広げる。故に話はまとまらない。
 水掛け論。誰も本音を言わない癖に傷つけ合って、まさに無法地帯。まさに不毛の地。全体ではなく、あっちこっちで小規模な言い争いが起こり、収拾がつかなくなった。

 阿良々木暦は学級会の続行不可を老倉に告げに行く。阿良々木暦の糾弾を聞き、老倉は立ち上がり、八つ当たり気味に犯人を決める術を実行する。

 多数決

 長期間の監禁によって、発生したストレス。
 その根源たる老倉に対する反感。全員を責め続けていた老倉育。
 あんな状態で多数決なんてすれば、どうなるかなんて明々白々。

 クラスの過半数が、老倉育が犯人だと挙手した

 こんな出来事があってから、阿良々木暦は口にするようになった。
『友達はいらない。友達を作ると、人間強度が下がるから』。

 正しさなんていくらでも生み出せる
 こんな学級会を目の当たりにして、阿良々木暦は絶望した
 以上、阿良々木暦の過去。
 彼の心残り。


006


 後日談というか、今回のオチ。

困るますね
 忍野扇は言う。
まだ楽になってもらっちゃあ困ると言ったんですよ、阿良々木先輩」

 そうだ。
 この教室から出るには犯人を特定する必要がある
 だけど、あのとき特定できなかった犯人をどうやって。

「って言うか、阿良々木先輩も本当はわかっているはずですよ」

 何を言っているんだ、この子は。
 何を知っているんだ、この子は。

私は何も知りませんよ――あなたが知っているんです、阿良々木先輩」

 名探偵。一同集めてさてと言い。
「さて! 自らの業に焼かれて破滅した間抜けでとんまな愚か者、老倉育を弔うためにも、彼女が望んだ『犯人当て』を粛々と実行しますかね。おっといけません、『犯人当て』ならば、これだけはちゃんと言っておかないと。怪異払いでも謎解きでも、作法というものは大切ですからね」
 忍野扇は言う。

私は読者に挑戦する



007


 はいはい、皆さんこんにちは。忍野扇ですよ。というわけで『読者への挑戦』です。ここで阿良々木先輩が一年生の頃に遭遇した事件の真相を、推理してください。まあ、昔のゲームブック風に言うなら、『閉じ込められた私たちを助けるために、お願い、謎を解いて!』です。昔のゲームブック風にって言っても昔のゲームブックを大抵の人は知りませんけれどね。実は私も知りません。私は何も知らないんですよ。
 ちなみにこの『読者への挑戦』を発明したのはエラリー・クイーンという偉大な推理作家で、解決編の前にこの一文を入れておくと、読者は答えを一つに絞らざるを得ず、読了後に『あー、最初から犯人わかってたんだー。あそこ読んだとき怪しいと思ってたんだー」と勝ち誇られるのを推理作家は見事回避できるそうです。まあ、推理小説を読むときって、基本、全員を疑いながら読むから、こうでもしないと絶対に犯人、当てられちゃうんですよね。その話を聞いたとき、やっぱり歴史に名を残す大家は賢過ぎるなあと思いました。
 それはさておき、とても現実的なことを言うなら、ことがただの偶然である可能性、はたまたまるっきりの部外者の犯行である可能性を完全に正気することはできませんし、また、なにせ怪異がいる世界観での事件ですので、物理法則を超越した『お化けの仕業』という線も否定することもできないんですけれど、まあ、そこは数学的に言うところの、確率論です。可能性、または期待値の高いほうを採用していきましょう――論理的にあり得ない可能性はすべて取り除けないときは、論理的にもっともありえそうな可能性が真実です。老倉先輩主催の勉強会に参加者として直接持ち込んだのか、それとも勉強会には参加せず、別方向からのアプローチによってなのか、とにかく一年三組が直面した不可解な局面を作り出した人物を、特定してください。
 わかりやすくするために下記に登場人物一覧表を、簡略化したプロフィールを付した上で、挿入しておきます。海外の推理小説ではお馴染みのあれです――登場順ではなく、五十音順ですが、まあ、犯人はこの中の誰かだと考えてください。言うなら選択問題ですね。こうも選択肢が多い問題を選択問題と言っていいのかはわかりませんが、察しのいいかたならこの表からだけでも、何らかの不自然を感じることができるでしょう。
 これは要するに私、忍野扇犯人説はないという意味ですが(むろん神原先輩のことも疑わなくていいです)、語り部である阿良々木先輩や可哀想な老倉先輩が犯人である可能性は、一応念頭においといてください。阿良々木先輩が犯人だったら私もキャラを捨てて爆笑ですけどね。超ウケるー、ってこれはエピソードさんのキャラですか。
 ヒントは一つ。
 私が指摘した通り、阿良々木先輩はご自身の過去を物語るにあたって、とある情報を隠しています。ただし嘘を吐いていません。私の前では、隠しごとじゃできても嘘は吐けないんですよ――基本的には。今回は基本のうちです。
 ちなみにこのお話は二〇一三年十月に発売された『終物語(上)』に収録されている一編ですが、本『読者への挑戦』はその際には収録されません。別冊少年マガジン限定の扇ちゃんサービスです。登場人物表もカットされちゃいますので、皆さん、ついてましたね!
 制限時間は、そうですね、切りよく五分――と言いたいところですけれど、まあ皆さんの貴重なお時間を五分もいただいてしまうのは申し訳ないので、二分ということにしましょう。時計の針が止まった五時五十八分から、下校時刻までの二分というわけです。二分以内に答えを出せなかったら、下記の容疑者リストから適当に一人、あなたの勘で決めてください。言うまでもありませんが、あらゆる共犯関係は考えなくていいです。もちろん、勘で当たっても正解でいいですよ。数学だってほかの教科同様、勘働きがないと成立しない学問ですし。でも、どうか多数決で決めるのだけはやめてあげてくださいね。愚かなる阿良々木先輩に免じて。
 それでは検討を健闘をお祈りします。

 二伸。
 ヒントその2.
 公倍数。


008


『1』足根敬離(あしね・けいり)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『美男子。性格もいい』。

『2』阿良々木暦(あららぎ・こよみ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『唯一の満点』。

『3』蟻暮琵琶(ありくれ・びわ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『きつい性格。ピアニスト志望でいつも手袋をしている。ニックネームは「アリクイ」』。

『4』医上道定(いがみ・みちさだ)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『ニックネームは「ドクター」。老倉主催の勉強会参加していたが、参加者の中では最も低い六十八点。気前のいい性格でお菓子を差し入れた』。 

『5』浮飛急須(うきとび・きゅうす)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『勉強は苦手だが、頭はいい。数学のテストでは女子の中で最低点の五十七点を取った』。

『6』老倉育(おいくら・そだち)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『委員長。勉強主催者。ニックネームは「ハウマッチ」。本人はオイラーと呼ばれたがっている』。

『7』効越煙次(ききごえ・えんじ)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『悪戯好き。ニックネームは「スパイ」。男性の中では最も疑いが強い』。

『8』雉切帆河(きじきり・ほか)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『マイペース。一時期は不登校になっていた』。

『9』苦部合図(くべ・あいず)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『ニックネームは「図書委員」。直江津高校に図書委員がない。読書家なのでそう呼ばれている。国外の古典小説が好き』。

『10』激坂なげき(げきさか・なげき)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『積極的な性格。ニックネームは「投げキッス」』。

『11』甲堂草書(こうどう・そうしょ)。勉強会『参加』。部活『バレー部』。
 備考『借り物を乱暴に扱う癖に、物を貸すのは嫌がる難儀な性格。部活熱心』。
『12』小馬沖忠(こうま・おきただ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』
 備考『部活通い。不参加にして九十七点。声が綺麗』。

『13』品庭綾伝(しなにわ・あやづて)。勉強会『不参加』。部活『陸上部』。
 備考『エリート意識が高い。他人を見下す傾向にある』。

『14』周囲通魔(しゅうい・つうま)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『副委員長。生真面目で模範的な生徒』。

『15』趣沢住度(しゅざわ・じゅうど)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『教えたがり。押しつけがましい。左右両手に腕時計』。

『16』巣内告詞(すうち・こくし)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『控え目で大人しい性格』。

『17』砂浜類瀬(すなはま・るいせ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『面倒臭がり。掃除が好きな女子。勉強会翌日のテスト日、日直。勉強会で散らばった教室を後片付けした』。

『18』戦場ヶ原ひたぎ(せんじょうがはら・ひたぎ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『病弱。不参加九十八点』。

『19』題野木苺(だいの・きいちご)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『論理的で口達者な女子。ニックネームは「だあちゃん」』。

『20』鉄条径(てつじょ・こみち)。勉強会『不参加』。部活『ソフト部』。
 備考『ソフトボール部に所属している。クラスのまとめ役。ニックネームは「ジョー」』。

『21』糖根軸(とうね・じく)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『食べるときが何よりも幸せという大食家で癒し系。ニックネームは「アイシング」』。

『22』問嶋水仙(といしま・すいせん)。勉強会『不参加』。部活『華道部』。
 備考『笑い上戸な女子。ニックネームは「スイ」』。

『23』長靴頂下(ながぐつ・ちょうか)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『お調子者でムードメーカー。女子を泣かせてしまうこともあり、女子から嫌われている』。

『24』把賀濾過(はが・ろか)。勉強会『参加』。部活『陸上部』。
 備考『ゲーマー。携帯ゲーム機を学校に持ってきて没収される。猛勉強し九十六点』。

『25』速町整子(はやまち・せいこ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『ネイル。茶髪。化粧。数学九十二点』。

『26』氷熊戚朗(ひぐま・せきろう)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『中学時代に生徒会長を務めていて、女子から人気が高い。ニックネームは「キロ」』。

『27』菱形情路(ひしがた・じょうろ)。勉強会『参加』。部活『ソフト部』。
 備考『姉御肌のソフト部員。喧嘩っ早い。頼り甲斐があり信頼されている』。

『28』深遠霜乃(ふかどお・しもの)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『かわい子ぶる女子。可愛い髪飾りをつけて学校にきていた』。

『29』服石点呼(ふくいし・てんこ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『気弱で引っ込み思案な女子。ニックネームは「フッキー」』。

『30』歩藤しじま(ふどう・しじま)。勉強会『参加』。部活『水泳部』。
 備考『塩素で脱色されたため茶髪の髪。父親がプロ野球選手、と嘘を吐いている』。

『31』冬波境篤(ふゆなみ・さかあつ)。勉強会『不参加』。部活『バレー部』
 備考『男子バレー部員。背が低いのを気にしていて、背を伸ばすためにバレー部に所属。甲堂の幼馴染』。

『32』窓村壁(まどむら・かべ)。勉強会『参加』。部活『軽音部』。
 備考『洋楽が好きで英語が得意。数学が苦手。逆立った髪は寝癖』。

『33』鞠角瓢衣(まりずみ・ひょうい)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『姉のお下がりというだぶだぶの制服を着ている女子。髪の毛はザンバラで周囲から変人扱い』。

『34』実崎明媚(みざき・めいび)。勉強会『不参加』。部活『美術部』。
 備考『芸術家気質。ニックネームは「カモ」』。

『35』目辺実粟(めべ・みあわ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『関西出身。気さくな性格。ニックネームは「ホイップ」』。

『36』湯場職則(ゆば・しょくのり)。勉強会『不参加』。部活『野球部』。
 備考『実際は幽霊部員。七月下旬に学校を辞める。ニックネームは「頬杖」。テストは白紙で提出。強面』。

『37』余来承継(よき・しょうけい)。勉強会『参加』。部活『帰宅部』。
 備考『暑苦しい男。時代錯誤。大時代的』。

『38』割取質枝(わりとり・しつえ)。勉強会『不参加』。部活『帰宅部』。
 備考『剣藤を習っている女子。好戦的。箒で人を叩く』。


009


「犯人は鉄条径ですね」

 教室に這入ったとき、すべての席は埋まっていた。厳密に言えば老倉育の席は空いていたが、阿良々木暦の席も空いていないとおかしい。ならばこう考えられる。誰かがそこに座っていた
 部外者が這入ることを許されない学級会。
 そこに三十七名のクラスに、もう一人。
 一年三組の関係者でありながら、席を持たない者。

 たとえば、担任教師

 これなら筋が通る。
 誰かが問題の答えを勉強会で流した――のではなく勉強会の内容に合わせて問題が作られた
 砂浜類瀬が日直で早く学校に来たとき、勉強会の後始末がされていなかった。それを鉄条径は手伝った。
 お菓子の袋を捨てたり、机を並べ直したり、黒板を消したり

 書いては消しするだろうから、すべてを判読することはできなかったどうけれど、一部分なら読み取れる。そして二限目からテストのある数学なら、一時間以内に問題内容を作り直して準備をすることはできないことはない
 愉快犯としかいいようのない動機不明のこの問題も、担任教師ならば納得ができる。

 全体の点数が上がることで、数学担当でありながら担任教師である鉄条は教導能力、指導力が高いと評価される。

 生徒にとっての正しさの象徴であるはずの教師が不正行為をしていた
 阿良々木暦はこれに絶望した――わけではない

 友達を疑い糾弾し合い傷つけ合うだけの学級会に絶望した――わけではない
 多数決で犯人が出来上がること絶望した――わけではない

 ならば阿良々木暦。
 彼は何に絶望したのか。
 それは。

「あのとき、クラスの連中に紛れて教師である鉄条もまた、ぴんと真っ直ぐ手を挙げていたからだ


010


「バッドタイミング」
 翌日、学校に登校すると、不思議が教室はなくなっていた。
 そのままいつも通り教室に這入ろうとしたところで、羽川翼に追い出される。

 今まで学校に来ていなかった生徒が、今日は学校に登校してきた。
 産休を取った鉄条先生と入れ替わるみたいに、老倉育が学校にやってきた。

「……阿良々木くんって、確か彼女と折り合い悪いんだったよね?」








 ちなみに私はこの『終物語(上)』のお話が、『物語シリーズ』の中でもかなり好きなお話です。
 別冊月刊マガジンで読んだときは、『このキャラは好きじゃないなあ』と老倉さんに対して思っていましたが、読み進むに連れて段々好きなキャラになっていきました。今では老倉さんは『物語シリーズ』で最も好きなキャラクターです。

 老倉さんが阿良々木暦を恨んでいる理由は、『そだちリドル』で明かされることになるはずです。
 エンディング、結構凝っているなあ。歌詞も『老倉視点』として聞くことができる。





category: 西尾維新

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